トウキョウソナタを観て考える。
これまでの人生がぜーんぶ夢で、
ふと目が覚めて全然違う自分だったら、
どんなに良いだろう。
家族をテーマにした作品、お母さん役のキョンキョン(って云われても若い世代の人たちは誰か解らないかな)の演技がなかなか良かった。お父さん役の香川照之は上手すぎてリアルで辛かった(近い世代の設定だからか)。
劇中、宙に消えるように呟くように紡ぎ出されたお母さんの台詞。いかなる境遇の人でも、誰しもが一度は思う事、実現しないからこそ思える事。たといもし全然違う自分になったとしても、新しい現実に嫌気がさし、またこの言葉を唱えるのだろう。
映画というものは「
娯楽」であることが前提である、と思っていた。
しかし最近、いろんなことを考え、いろんな考えを受け入れようとしているので、この条件付けが変わったのかも知れない。
決して(それほどは)面白くない、辛い現実さえ匂わせる物語。しかしそんな世の中だからこそ映画という媒体を使って救済しなければならない。
楽しくはないが、
楽になることが出来る。そういう装置でもあったんだ、映画って。
最後、次男の弾くドビュッシーの「
月の光」でこの映画の幕は閉じる。正直、鼻持ちならない終わり方だった。
そう感じるという事は、僕にはまだ救済が必要でないということ、そしてそれは逃げてばかりいることを自分に気付かせることになるのだろう。
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